地名と駅名のビミョーな関係!?




     この2月14日、滋賀県山東町・伊吹町・米原町が合併して米原市が誕生しました。ここのところ、よく目にする合併による新市の誕生を、どうしてわざわざここで取り上げているのかというと、一見目に見えない重大な変更が秘められているからです。

     それは、米原町時代「まいはら」と読んでいたのを、市制施行とともに、市や小中学校、公共施設の名称まですべて「まいばら」に変更・統一したのです。これまで米原町を「まいはら」と読んでいたことに驚かれる方も多いでしょう。それもそのはず、東海道線や新幹線の駅は昔から「まいばら」と読んでいました。そのためか、全国的にはもっぱら「まいばら」で通っていたのですが、地元ではどちらかというと、「まいはら」と読む人が多かったのです。これは、近畿エリアの放送局のアナウンサーにとっても、有名な要注意事項でした。

     この米原以外にも、地名と駅名の読みが微妙に異なっていたケースは少なくありません。有名なところでは、軽井沢は地元以外では「かるいざわ」と濁って読むのが一般的ですが、昔は「かるいさわ」と読んでいました。これは外国人が「かるいざわ」と読んでいたこともありますが、信越本線の駅が、「かるいざわ」という読みで開設されたことにより、全国的にはその方が有名となった面もあり、後に町名も「かるいざわ」に変わった経緯があります。

     大糸線の白馬も同様です。もともと代馬(しろうま)であったものを、字を美化して白馬としたのですが、当時の国鉄が信濃四谷駅を改称したとき、白馬を「はくば」と読ませたことから、その後「はくば」の方が有名となり、村の名前の読みもそうなりました。また、熊谷が「くまがい」→「くまがや」に、秋葉原が「あきばはら」→「あきはばら」に、吉祥寺が「きっしょうじ」→「きちじょうじ」と、駅名にあわせるように転訛していったということです。いずれにしても、鉄道の影響の大きさを感じさせる出来事といえるでしょう。

     その反対に、駅名が地名に負けた(?)ケースもあります。北海道の旭川がそれにあたります。昔から一般には「あさひかわ」で通っていたのですが、旭川駅は開設時に「あさひかわ」であったものを、明治末期に改称し、以来「あさひがわ」と読んでいました。さすがに通りが悪かったのか、昭和63年に「あさひかわ」に再改称されています。

     未だに地名と駅名が異なったままのケースも、もちろんあります。例えば小淵沢は、町名は「こぶちさわ」ですが、駅名は「こぶちざわ」です。

     きりがないのでこの辺で打ち止めとしますが、今回の米原の件でかわいそうなのは、日本道路公団でしょう。というのも、平成13年に、それまでインターチェンジやジャンクションを「まいばら」と読んでいたものを、町名にあわせて「まいはら」に改称したのです。もちろんこれは看板から印刷物など、かなりの経費がかかる変更作業でした。さすがにすぐには「まいばら」に戻せないようで、しばらくはそのままでいくそうです。




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