

「カンヌ」新人監督賞受賞作品は未成線が舞台
今年のカンヌ映画祭は、グランプリにあたる賞に今村昌平監督、役所広司主演の「うなぎ」が受賞したことが話題になりましたが、一方で新人監督賞(カメラドール賞)も日本人が受賞しました。奈良在住の河瀬直美監督という方で、作品は「萌の朱雀(もえのすざく)」です。
この「萌の朱雀」、長年にわたって行われてきた鉄道建設が中止になったことにより、父親が突然自殺して崩壊してしまった家族が自立していく様子を軸に描かれた映画です。実はその建設中止になった線というのは奈良県の五条と和歌山県の新宮を結ぶという雄大な計画のもと、戦前から約40年にわたって工事が行われてきたものの、結局列車が走ることなく終わった未成線の五新線なのです。監督が3年ほど前に知人に連れられて使われることの無かったトンネルを見たときの衝撃が、この映画を作るきっかけになったそうです。
この五新線は路盤工事の完成した西吉野村の城戸までのおよそ10kmは、現在バス専用道として使用されており、並行する国道168号線から、橋やトンネルで一直線に伸びている立派な専用道が見えます。ロケ地は西吉野村とのことですが、映画で登場するトンネルはおそらく城戸よりもっと奥のものであろうと思われます。ただ、残念なのは映画の公開が今秋までなく、それも現在のところ、銀座テアトル西友と、大阪のテアトル梅田の2カ所でしか予定されていないということです。その後名古屋シネマテーク、札幌シアターキノ、京都みなみ会館等全国で順次公開予定だそうですが、個人的には早く観たい映画です。(今回の受賞で状況は変わることを期待しましょう)