

有田鉄道、株主総会で鉄道事業廃止承認
全国3番目のミニ私鉄として知られる和歌山県の有田鉄道の株主総会で、藤並〜金屋口間5.6キロの鉄道事業を廃止する議案が可決されました。
有田鉄道は、もともとは有田川流域で産出したミカンを、天然の良港である湯浅港に運ぶために、この付近の紀勢西線(現紀勢本線)の開通より前に敷設された鉄道です。現在の紀勢本線の藤並〜湯浅間の北半分は、有田鉄道が敷設したルートに並行しているだけでなく、藤並以南の有田鉄道が戦時休止された補償の意味あいもあって、昭和25年から平成4年までの長きにわたって、藤並〜湯浅間の国鉄(JR)線にこの小私鉄のディーゼルカーが乗り入れていたことでも有名でした。
モータリゼーションの進展と共に、並行道路を走る自社バスを充実させて、鉄道とバス相互のダイヤの補完を図っていたのですが、平成6年に中古のレールバスを導入してワンマン運転を開始、翌7年には日曜・祝日の全列車を運休するという究極の合理化を図りました。
私は平成12年にここを訪れたことがあります。田殿口はミカン積み出し駅の面影を存分に残し、また下津野は列車行き違いが可能だった名残が認められましたが、何より驚いたのは、並行道路に有田鉄道の各駅へと案内する看板が、金屋口でさえ見あたらなかったことです。これは、この鉄道が地域住民からすでに必要とされていないことを表しているようでしたし、さらにショックだったのは、鉄道存続のよりどころとされていた下津野への通学生の輸送が、バスでも充分代行可能なほど減っていたのを目の当たりにしたことです。さらに昨年11月からは、列車の運行が1日2往復にまで減じられ、もう先は長くないことは明白でした。
実際、平成9年度の輸送密度は48と、今まで残っていたこと自体が奇跡とも言える状況で、すでに春先から廃止への動きが伝えられていたこともあって、地元でもそれほど驚きを持って迎えられていませんが、会社側は今年中に廃止する方針とのことです。