ついに・・・高松琴平電気鉄道が経営破たん




     香川県内に3路線60キロメートルの路線を持つ高松琴平電気鉄道(以下琴電)が、子会社のコトデンバスとともに、民事再生法適用を高松地裁に申請、事実上倒産しました。電鉄本体の負債総額は344億円と、地方私鉄にしてはとんでもない多額にのぼります。これには自らの借入金187億に加え、今年一月に経営破たんしたコトデンそごうへの債務保証140億が含まれています。そもそも本体の借入金がこれほど多大なのも、コトデンそごうが入居する瓦町ビルの建設費が102億かかったことなど、コトデンそごう関連が足を引っ張ったことは明白です。

     琴電にとっては、鉄道との相乗効果もねらえる瓦町にデパートを作ることは長年の夢であり、現に昭和51年にいったん高島屋と組んで具体化しかけたのですが、この時は実現に至りませんでした。それだけに、バブル崩壊後でしかも消費税税率変更直後という、いわば最悪の時期ではありましたが、コトデンそごうのオープンはこれからの成長軌道の端緒のはずでした。しかし、コトデンそごうは消費低迷と、郊外型量販店との競争激化で売り上げは低迷、開店以来一度も黒字を計上することなく、わずか4年ももたずに終焉を迎え、結局このことが今回の琴電の経営破たんを招きました。

     琴電は戦時中の昭和43年に琴平電鉄、讃岐電鉄、高松電気軌道の3社が統合されて発足しました。鉄道全盛期には、金刀比羅宮(こんぴらさん)には国鉄の他に3社(!)もの私鉄(琴参・琴電・琴急)が乗り入れて、互いに乗客誘致を競っていましたが、このうち唯一生き残った私鉄です。ただ、志度線を高校生の時に利用していた40歳代の友人が言うには、琴電を利用するよりは自転車の方が早かったそうで、そんなこともあってか、ここのところ利用客は減少の一途をたどっていました。しかし、実際自分で見て驚いたのですが、瓦町駅は大手私鉄に見劣りしないほどの立派なターミナルで、よく地方私鉄でこれほどまでできたものだと感心していただけに、今回のことはやっぱりなという気がしないでもありません。

     2001年3月期の営業損益によると、鉄道事業による3億3600万円の赤字を、不動産関連などの付帯事業で稼ぎ出した7億7700万円の黒字で補う、地方私鉄に典型的な経営状況でありますが、そもそも年間40億円程度の売り上げのグループ企業にとっては、やはりコトデンそごう自体が身の丈にあわない事業であったのでしょう。瓦町ビルの後継店に決まった高松天満屋の家賃は、7億程度とコトデンそごうの半分以下となったことで、頼みの綱の付帯事業での大幅な減収が確実となり、自主再建をあきらめざるをえなかったようです。

     両社とも運行を継続しながら、法的な枠組みの中で経営再建を目指すため、即路線廃止という事態にはならないようですが、これからの再建の途上でどんなことがあるか、予断を許しません。






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