

井原鉄道開業によせて
このほど平成11年1月11日に、岡山県総社市と広島県神辺町を結ぶ延長41.7kmの井原鉄道が開業しました。それも午前11時11分11秒に上下1番列車が井原駅を発車したということで、全国ニュースにも流れて認知度も上々、地元もかなり盛り上がり、滑り出しは好調のようです。
そもそもこの井原鉄道は、国鉄再建のあおりをうけて建設が中途で止められてしまったものを、地元出資の第三セクターにより開業することで工事が再開したという、北近畿タンゴ鉄道や智頭急行、北越急行等と同じ素性を持った路線で、それだけに地元の思い入れが強いのも当然といえます。

このめでたいニュースに苦言を呈するつもりはないのですが、井原鉄道が”快走”することを真に願う一人として、ちょっとだけ心配事があります。それは、井原鉄道のルートは略地図に示すように、昭和46年に廃線となった井笠鉄道のルートとかなりダブっていて、実際井笠鉄道跡に敷かれている区間もあるほどだということです(細かいことを言えば廃線前から工事は開始されていましたが・・・)。軽便鉄道と高架新線の鉄道という大きな違いはありますが、乗客減により廃線となった区間に再び鉄道が走るのです。鉄道以外の手段によって移動することに慣れてしまった沿線住民を、いかに井原鉄道の乗客として取り込んでいくのか、手腕が問われるということになります。
そして、当然井原鉄道のケースだけではないのですが、第三セクターという組織の問題点が声高にいわれるようになって久しくなりました。第三セクターは責任の所在が曖昧であるということもあって、鉄道のみならず、全国的に苦戦している例が少なくないといいます。大阪の泉佐野コスモポリスの例を引き合いに出すまでもなく、第三セクターの破綻は結局は地元の負担となります。ちょっとニュアンスは違うものの、国鉄債務の負担問題でかなりもめたのも記憶に新しいところです(それにしてもJRが負担するのも約束違いであるが、喫煙者が負担するというのは全く変な話ですね、とくに国鉄のなかった沖縄の喫煙者はやってられまへんなあ)。国鉄廃止線を転換した第三セクター鉄道にも、大きな赤字を出しているところが少なくないようで、夢と現実の間の隔たりは小さくないようです。
しかし井原鉄道はこれらの心配を吹き飛ばしてくれることでしょう。開業人気の間に流行るのは当たり前、2年目以降が本当の勝負、井原鉄道が順調に成績を伸ばすことを祈っております。